はじめに
こんにちは!EventHub CTOの井関です。
これは EventHub Advent Calendar 2025 の24日目の記事です。
今回の記事では、今年2月にプレスリリースを出した「ノーコード連携」について、リリースまでの経緯とその後をまとめます。 実は、こうした連携機能は以前から提供していましたが、なかなか利用率が伸びず、3回の大きな改善を加えることでようやく今の形になりました。もちろん、プロダクトは常に進化しているため、現在の連携機能もまだまだ改善の途中です。
ノーコード連携は、EventHubが実現したい世界観の土台となる重要な機能です。そのため、「2月のリリースから9月末までの約7ヶ月間で、アクティブ利用社数を大幅に伸ばす」という高い目標を掲げていました。そして結果は……無事に目標としていた導入社数に到達し達成することができました!
この機能はお客さんの環境に合わせた設計が必要なため、セールス・カスタマーサクセス・カスタマーサポートといった様々な部署の協力なしには達成できませんでした。開発した機能が本当にお客さんに価値を届けるためには、全社的な協力がいかに重要かを再認識しました。
なぜ連携が重要なのか
EventHubは、出展、ウェビナー、小規模オフライン、オンラインカンファレンス、大規模オフラインまで、あらゆるイベントタイプに対応することで、イベントマーケティングの成果を最大化します。 成果を最大化するためには、単にイベントを開催するだけでは不十分です。開催データを可視化してPDCAを回すこと、そしてイベントで得た顧客データをその後の商談(CRM/SFA)にスムーズに紐づけることが重要になります。 だからこそ、EventHubの世界観を実現するために「データ連携」は欠かせない機能になります。
1回目のデータ連携:API公開
初期のデータ連携は、APIの公開から始まりました。この公開APIは現在も活用されており、ノーコード連携の礎となっています。 しかし、単にAPIを公開しただけでは、開発リソースを持たないお客様にとってはハードルが高く、商談データとして活用するまでには至りませんでした。結果として、利用率は低いままでした。
2回目のデータ連携:MA/SFA直接連携(ミニマム)
2回目は「商談での活用」に狙いを絞り、MA/SFA(Marketo, Salesforce, HubSpot)と直接連携できる機能を開発しました。 MA/SFA連携はできることが膨大で、全てに対応しようとすると開発工数が肥大化します。そのため、お客様側で仕組みを構築していただく「ミニマムな連携」を目指しました。 これにより利用率は向上しましたが、お客様に深いMA/SFAの知識が求められる仕様となってしまい、一部の方しか使いこなせないという新たな課題が生まれました。
3回目のデータ連携:柔軟性の追求
機能が限定されていることでお客様に高度な知識を求める形では利用促進が難しいため、お客様の利用用途に幅広く対応できるようにするためにより柔軟な仕組みを導入しました。ただ、今度は柔軟性を担保した影響でお客様自身が環境に合わせて設計と実装を行う必要が出てきてしまいました。柔軟性が高すぎたあまり、提案をしても「難しそう」と敬遠されてしまう結果となりました。
現在の「ノーコード連携」
そこで、実際に私自身も何度も商談に同席し、生のお客さんの声を拾い集めました。その結果、「ある程度の柔軟性を確保しつつ、EventHubが推奨する設計(ベストプラクティス)を簡単に取り込める方法」を模索し、リリースに至りました。 まだ課題はありますが、EventHub側での伴走が可能でありつつ、フルスクラッチの受託開発のようにはならない、「ちょうど良い塩梅」の形式に着地しました。これが功を奏し、利用率は飛躍的に伸びました。
最初のAPI公開(2023年1月)から約3年。この期間は、私たち開発チームにとって「何をもって完成とするか」の定義を問い直す時間でもありました。 最初は「連携機能が実装されていること」をゴールにしていましたが、それだけでは顧客の成果には繋がりませんでした。そこから3度の改善を経て、実際に商談成果が出るという状態まで解像度を高めたのが今回のノーコード連携です。 多くの利用実績が出た今、ようやくスタートラインに立てた気がしています。
得られたインサイト
今回の開発を通じて、いくつかの重要な学びがありました。
ヒアリングだけでなく「商談・オンボーディング」の現場に出る
「ご意見を聞かせてください」というヒアリングは色々な意見が聞けますが、そこで得られるものはどうしても「あってもいいかもね」といった温度感の内容も含まれます。 それよりも、「お客様がお金を払うかどうかの判断をする商談」に同席し、営業と共に提案する方が、シビアで本質的な情報を得られました。また、受注後もCS業務に入り込み、実際に課題が解決されたかを見届けることで、顧客解像度が劇的に上がりました。
既存だけでなく「新規」も見る
「利用率の改善」を目標にすると、母数の多い既存顧客にどうしても目が行きがちです。しかし、既存のお客様だけでは見えてこない視点や課題も多くあります。 これから運用を構築する新規のお客様の課題を理解しどのように解決するかも合わせて考慮しなければなりません。「誰にとっての価値か」を見誤らないよう、既存・新規のバランスを意識することが重要でした。
最初から「手離れ」を目指さない
SaaSプロダクトとして、お客様が自走できる(セルフオンボーディング)仕組みは必須です。しかし、最初からそこを目指してしまうと、顧客が躓く「本来の課題」を見逃してしまいます。 「技術的にできること」だけで自動化を進めると、「機能としては完成しているが、現場では使いづらい」プロダクトになりがちです。まずは手厚く伴走し、正解のフローが見えてからシステム化・効率化する順序が大切だと痛感しました。
インサイト以上に大切なこと
ここまでプロダクト開発の学びを書きましたが、今回高い目標を達成できた最大の要因は全社員がEventHubのバリューである「顧客を主語に」を体現してくれたことに尽きます。 実は今回の連携機能はセールス・カスタマーサクセス・カスタマーサポートにとっては、「負担」が増える側面もありました。
- セールス: システム検証などの工程が増え、受注までのリードタイムが伸びる
- カスタマーサクセス: MA/SFA環境に関する深い知識が必要になり、オンボーディングの工数が肥大化する
- カスタマーサポート: 調査難易度が上がり、問い合わせ解決までの時間が増大する
自部門のKPIや効率だけを見れば、敬遠されてもおかしくない機能です。 しかし、それでもお客様の真の課題解決につながるならと部門の垣根を越えて一丸となり向き合ってくれました。適切な機能を作るためには前述の「インサイト」が重要ですが、その機能を真の価値としてお客様に届けるためには、全社的な連携が不可欠です。
改めて、今回の高い目標を達成できたのは様々な部署の協力があったからこそです。この場を借りて、全員に心から感謝します。
最後に
こうした形でエンジニアでも深く顧客を理解し必要な機能を考え抜いて開発を進めることをEventHubでは大事にしています。
開発チームを拡大しようと考えた時からこの思想を打ち出して今の文化ができあがってます。顧客に向き合いながら開発することは時に大変ですが、大きなやりがいや事業成長に深く関わることができます。
ぜひ、そんな挑戦をしてみたいという方は連絡をお待ちしてます!!
次の25日目の記事は、弊社代表の山本です!! お楽しみに!