はじめに
こんにちは、勝田です。
先日、社内で「Cursorの使い方とTips」に関する勉強会を開催しました。
そのときふと、「実際みんな、AIってどれくらい使ってるんだろう?」と気になって、エンジニアメンバーを対象に簡単なアンケートを取ってみました。
AIツールはもはや特別な存在ではなく、手元にあって当然の日常的な開発パートナーになりつつあります。
今回は、社内のリアルな声をもとに、AIとの向き合い方についてまとめてみました。
1. 普段使っているAIツール

EventHubでは、Gemini や GitHub Copilot を契約しており、エンジニアがAIツールに触れるハードルは低く、日常的に活用されている環境が整っています。
実際に社内の声を聞いてみると、思った以上に複数のツールを状況に応じて使い分けている人が多く、「このケースならこのツール」といった選び方が自然に行われていました。
中でも興味深かったのは、Copilotに加えてCursorを積極的に選んでいる人が多かった点です。その理由としては、以下のような声がありました。
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補完の推測精度が高く、複数行や複数ファイルにまたがる補完が強力
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プロジェクト全体を読み込んだうえで文脈に沿った提案をしてくれる
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操作が軽くストレスが少ない。反応も速い
ツール選定そのものがナレッジ化している今、「誰がどんな場面で何を使っているか」をオープンに共有し合える仕組みが、今後さらに重要になりそうだなと思いました。
2. サポートされている業務

コード補完、テスト作成、既存コードの意図の把握、ドキュメント生成、エラーの原因調査など。
「ゼロから創り出す」というよりは、既存の業務の加速や補助に活用しているというのが全体的な傾向でした。
僕自身も、まっさらな状態からAIに任せるより、ある程度書いたものに対して肉付けしてもらったり整理してもらったりするのが、一番フィットしていると感じています。
3. 生産性への貢献度

「非常に貢献している」「ある程度貢献している」という声が多く、補完を“切る理由がもはやない”と感じている人もいました。
実際、自分自身も最近はAIなしでコーディングするのが考えにくくなっていて、それくらい日々の開発に溶け込んでいる感覚があります。
ただし、「全部AIに聞けばOK」という状態では決してなくて、あくまで人間の判断があってこそ活きる道具という認識が、社内全体にしっかり共有されているのが印象的でした。
4. 印象的な成功体験
たとえば、
- 「テストコード生成が圧倒的に速くなった」
- 「SQLのパフォーマンスボトルネック調査で活躍した」
- 「類似処理をテンプレ化して複製するのが爆速だった」
効率が上がっただけでなく、ストレスが減ったというニュアンスの回答が目立ちました。
とくに、「Cursorでコードの意図を要約してもらうと、他人のコードを理解するスピードが段違いだった」というコメントには、深く共感しました。
属人性を下げ、チームとしての可読性を底上げするツールになり得るという手応えを感じます。
5. 使いにくさや課題
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プロンプト設計が難しい・面倒
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結局、自分で書いた方が早いこともある
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出力の正確性に不安がある
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セキュリティ懸念(情報漏洩など)
このあたりは、自分もまさに日々感じているポイントです。
特に「正確な指示を出す」ための思考の流れは、これまでの“自分で手を動かして作る”スタイルとは明らかに違っていて、新しい思考回路が必要になる気がします。
結果として、「AIに聞く前にまず自分の思考を整理する」ことが求められるため、そこに負荷を感じることもあります。
いわゆるプロンプト疲れというやつですね。
6. ヒヤリハット体験
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SQLにインジェクション対策が入っていなかった
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ファイル構造が壊れそうになった
ツールが便利であるがゆえに、「どこまで信用していいのか?」という不安は常につきまといます。
だからこそ、信頼して任せる部分と、自分で必ず確認すべき部分の境界をどこに引くかが、エンジニアとしてのリテラシーになってきている気がします。
7. 今後AIの役割が増えることへの気持ち

「期待している」が多数派でしたが、同時に「正直不安もある」という声も一定数ありました。
ここでの不安は、AIの進化そのものよりも、自分がその変化に適応できるかという点にあるように思います。
キャッチアップのスピードに差が出やすいからこそ、学び方や使い方を支える設計がますます大切になっていきそうです。
8. 今後どう関わっていきたい?

積極的に関わりを増やしたい」「必要に応じて活用したい」という選択肢にすべての回答が集中しており、AIに対する前向きな姿勢が色濃く表れていました。
とはいえ、その前向きにもグラデーションがあって、日常的に使い倒していきたいという人もいれば、必要な場面で効果的に使えればいいという人もいます。
この違いはスキルやリテラシーの差というより、業務スタイルやタスク特性の違いによるものかもしれません。
だからこそ、誰もが同じように使いこなす必要はなくて、それぞれが自分にとってちょうどいい使い方を見つけていくことが、自然で無理のない関わり方なんだと思います。
9. その背景にある考えや期待、不安
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単純作業が減るのは歓迎
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でも、間違いを見抜ける力も問われている
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「使える人」と「使えない人」の格差が広がりそう
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ツールに振り回されたくはない
こうした声からは、AIへの期待と同じくらい、「本当にうまく使えるのか?」という戸惑いや、置いていかれることへの漠然とした不安も感じられました。
使えること自体をゴールにするのではなく、それをどう活かせるか/どこに効かせるかという視点のほうが、ずっと大事だと思います。
無理に使いこなすよりも、自分にとってのちょうどいい距離感や使いどころを見極めていくことが、これからのAIとの付き合い方の鍵になりそうです。
10. チームとして活用を進めるために必要なサポート
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社内Tipsの共有
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共通ツールの整備
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試せる余白
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各自の裁量を尊重する風土
今後も社内勉強会などを通じて、日々の開発に直結するナレッジをみんなで持ち寄りながら、よりよい活用環境をつくっていけたらと思っています。
このバランス感こそが、組織にとってのちょうどよいAIとの距離感を生み出していく鍵になるのではないでしょうか。
おわりに
AIツールが当たり前になった今、問われるのは「AIに何ができるか」ではなく、それをどんな文脈で、どう使いこなすか、どんなユースケースで価値を発揮できるかという視点です。
今回のアンケートを通じて、皆がとてつもないスピードで進むAIの進化にちょうどいい距離感で接しながら模索しているということでした。
その中で得た感覚や、工夫の共有が何よりのナレッジになると感じました。
こうしたナレッジが少しずつ社内にたまっていくことで、AIと協働しながら開発を進める精度やスピードが上がっていく可能性も、あると思ってます。
だからこそ、今回のようなアンケートや勉強会をきっかけに、無理なく自然にナレッジが循環する場を、今後も継続してつくっていけたらと思っています。
現在、EventHubではエンジニアを募集しています。本記事を読んで少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひカジュアル面談からご連絡ください!